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『ターニング・エルダー(50~64歳男女)』の働く意識・価値観に関する実態調査

人材総合サービスを全国で展開するスタッフサービス・ホールディングスは、シニアに関する知見・研究を通じてソリューションの開発をおこなう電通シニアラボと共同で「働く意識・価値観に関する実態調査」を実施。日本の性年代の人口構成比(5歳刻み)で50~64歳のサンプルを7,450人分抽出、分析の上6つのタイプに分類しました。

少子高齢化の進行に伴いさまざまな分野で人手不足が深刻化する中、注目をあびているのがシニア世代の労働力です。今や全就業者中の60代以上の方々の割合は20%を超えており、シニア世代が意欲と能力に応じて年齢にかかわりなく働き続けられる生涯現役社会の実現に向けた取り組みが多方面で活発化しています。

このような背景からスタッフサービスグループでは、年齢的に人生の転換点を迎えた50歳以上の方々を「エルダー」とし、なかでも特に50~64歳の方々を「ターニング・エルダー」と定義しました。この世代は、年間賃金が頭打ちになる(下図参照)など職場・家庭の環境変化によりその後の人生における働き方や仕事に対し選択を迫られるだけでなく、人手不足などさまざまな社会問題においても鍵となる世代と捉えています。

性年代別の平均年間賃金
出典:令和5年 賃金構造基本統計調査

今回、この世代を対象に、働く意識や価値観を把握すべく多様な観点から調査・分析をおこないました。


調査結果のポイント

■「ターニング・エルダー」全体の特徴

仕事に対して重視している点は、収入(生活費を賄える収入 約61%、趣味や娯楽に使える収入 約37%)、フルタイムで働ける(約37%)、職場の人間関係がよい(約31%)であることが明らかになりました。

■「ターニング・エルダー」各タイプの特徴

「ターニング・エルダー」は6つのタイプに分類されることがわかりました。働くに対するあらゆる因子に対してポジティブな反応を示し、年齢に捉われず新たなキャリアに挑戦したい「生涯上昇エルダー」の割合は3.5%と最も小さいという結果。一方、仕事に対する希望や条件が見えにくい「ひとやすみエルダー」の割合は32.5%と最も多いことがわかりました。

ターニング・エルダーの6つのタイプ


調査・分析方法について

■調査概要

・調査方法:インターネット調査
・調査期間:2024年2月22日(木)~2024年2月27日(火)
・調査対象:全国在住50-69歳男女 70,000ss

分析は、 日本の性年代別に人口構成比(5歳刻み)で50-64歳男女7,450 ssを抜き出し実施

■働く意識・価値観因子の表出(①)

日本全国在住の男女に対し、仕事に対する意識や希望などの価値観に関する設問を実施。50-64歳の回答結果に対して因子分析を実施し、6種の因子を得ました。

■働く意識・価値観因子の反応に基づくクラスター分析(②)

6種の因子に対する反応の差異により、ターニング・エルダーを6つのタイプに分類。それぞれの実態や特性を明らかにしました。


①働く意識・価値観因子の表出

「あなたが就職・転職先の仕事に求めるものは何ですか」「あなたの希望する働き方とはどんなものですか」という働く意識・価値観に関する質問の回答結果を用いて、因子分析を実施しました。
各因子の因子負荷量の高い項目内容を確認した結果、ターニング・エルダーの働く意識・価値観は「活力重視」「キャリア重視」「収入重視」「自由度重視」「自分らしさ重視」「労働条件重視」の6種の因子に大別されました。

【働く意識・価値観因子の表出に関する補足】
・労働に対する意識や価値観に関する選択肢を抽出。各選択肢のデータを元に、因子分析を実施。
・上記は、各選択肢(項目)の因子負荷量の一覧。
・因子負荷量は、1に近いほど因子と項目の相関が大きく、0に近いほど相関が小さいと解釈可能。数値が負の場合は、負の相関となる。


②働く意識・価値観因子の反応に基づくクラスター分析

ターニング・エルダー全体を見ると、仕事に対して重視している点は、収入(生活費を賄える収入 約61%、趣味や娯楽に使える収入 約37%)、フルタイムで働ける(約37%)、職場の人間関係がよい(約31%)であることが明らかになりました。

また、①で表出した6つの因子に対する反応の濃淡により、ターニング・エルダーを6つのタイプに分類したところ、「生涯上昇エルダー」「キャリア活用エルダー」「バランスエルダー」「エンジョイエルダー」「ライスワークエルダー」「ひとやすみエルダー」の6タイプに分類されることがわかりました。

各タイプの特徴についてそれぞれ見ていきましょう。


■ターニング・エルダーの働く意識・価値観のスコアチャート

各因子ごとの平均スコアにて、各タイプのチャートを作成しました。


■6タイプのターニング・エルダー 詳細プロフィール


総括:ターニング・エルダーの仕事における多様な価値観や意識が明らかに

「人生100年時代」と言われるようになって久しい現在、さまざまなデジタルツールやAIなどの登場により、人々の働き方や働く目的は多様化しています。また一方で、超高齢化が進む日本においてはさまざまな社会課題が顕在化してきており、50歳以上のエルダー層が少しでも長く現役として働き続けたいと思える環境の整備が重要と考えます。今回は、日本の社会動向に大きく影響を与えるであろう50~64歳男女を新たに「ターニング・エルダー」として定義し、その世代の方々の仕事に対する意識や希望などの価値観について調査しました。

その結果、現状あまり労働に対する希望や意志が見えにくい「ひとやすみエルダー」から、シニアになっても上昇志向を失わず、仕事に対して多方面で積極的な「生涯上昇エルダー」まで、働くことに対する多様な価値観や意識を持ったターニング・エルダーの各タイプ(6種)の特徴やボリュームが明らかになりました。

スタッフサービスグループは、今後も50歳以上の方々の「働こう」という気持ちに寄り添い、就業機会を創出していきます。


\お読みいただき、ありがとうございました!/

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