重度身体障がい者のディーセントワークを実現。在宅で働けるからキャリアに前向きになれた
スタッフサービス・クラウドワークではコロナ禍以前から一貫して完全テレワークに取り組み、重度身体障がい者のディーセントワーク(働きがいを持っていきいきと就労できること)を実現しています。その成果を生み出すためにどんな工夫をしているのか、実際に働くメンバーはどんな思いを持っているのか――。SSCWエリア統括部ゼネラルマネジャーの岡崎正洋さんと、福岡県に住む社員の赤崎礼雄さんが語ります。
一人ひとりの働きたいという想いにもっと応えたい
重度身体障がい者がテレワークできる仕組みを立ち上げた理由は、従来の通勤型の仕事だと働きたくても働けない人や、求人の少ない地方在住の人に対しても就労機会を提供したいと考えたからです。重度身体障がい者の多くにとって、電車に乗ったり、車を運転したりするのは非常に大きな負担を伴います。当社でも、事務所への通勤を必要とする採用条件では、働く意欲は高くても、ここの負担がハードルになって、採用に至らないことがたくさんありました。さらに、障がい者が働ける求人は都市圏に集中していた実情もありました。一人ひとりの働きたいという想いにもっと応えたい――そこから「重度身体障がい者のテレワーク」構想は生まれたのです。2016年1月に福岡県に8名の在宅社員を迎え入れ、その後規模拡大を続けて2020年4月にSSCWとして分社独立化し、2021年10月現在、2府30県で326人が働いています。
従業員の生活リズムに寄り添う仕組みを採用。雑談で仲間の個性を理解
日頃の業務では、従業員の生活リズムに寄り添えるよう「シフト制」を導入しています。「9時~19時の間で原則週5日、30時間勤務」という枠の中で、通院や生活介助サービスの時間を確保しながら社員自らが就業時間を柔軟に設定できるため、仕事と生活を両立しやすい仕組みになっています。
5~15人のメンバーでチームを組んで業務に臨む形にすることで、テレワークに伴う孤独感や不安感も払拭できています。ウェブ会議システムを利用した定時ミーティングを1日に3回実施。そこで、業務の進捗状況や疑問点などを互いに確認することができます。「会議のうち10分は必ず雑談に充てる」というルールを設けることで、コミュニケーションを促進しテレワークでも仲間との連帯感を築き上げています。
こうした環境整備は、安心していきいきと働いてもらうための基礎となっています。さらに、本人の能力や特性を見極めながら、成長機会を作り出していくことも大切。意欲があれば、チームや組織の運営に関わる仕事、社外から受注した仕事に携わってもらうなど、職域開拓にも一層力を入れていきたいです。
家族と電話で話すと「声が本当に明るくなったね」と言われます
私には先天性の脳性まひがあり、支えがない状態では歩くことが難しいです。手を動かす際にも、少し不自由を感じるときがあります。幼い頃には将来の職業についてあれこれと夢を持ったこともありましたが、年齢を重ねるにつれて、「自分のこの体でもできる仕事は何か」を考えるように。営業職など外回りの仕事は難しいだろうと思い、学生時代からパソコン関係のスキル・資格の取得に力を入れてきました。
高校卒業後、職業能力開発校に通学。その後、市役所の臨時職員として2年ほど、郵便物の発送準備や会議の議事録作成といった事務作業に携わっていました。同僚や先輩たちはとても親切にしてくれたのですが、体力的にも精神的にも大変だったというのが本音です。
アルバイト経験がなく、働くこと自体が初めてだったので、要領を覚えるのにとにかく必死でした。電車通勤は難しいため、母に車で送り迎えをしてもらっていました。ただ、気温変化などで体調に影響が出やすいほうだったこともあり、自宅と職場を行き来するだけでヘトヘトに疲れ切ってしまうような状況でした。
長期でこの生活を続けるのは難しいと考え、転職活動をしていたとき、知人の紹介で現在の職場であるSSCWに出会いました。2018年6月に入社。コロナ禍以前の当時としてはめずらしい、フルテレワークを実践しているところが最大の魅力でした。通勤がなくなるだけで、生活に余裕が生まれるだろうと想像できましたし、母に毎日の送り迎えを頼まなくてもよくなれば、憧れの一人暮らしも実現できるのではないかという思いがありました。
入社後は、同じ働き方をしているメンバー10人ほどでチームを組み、主にデータ入力作業を担当しています。在宅ワークは初めてだったので、実際に働き始める前は「分からないことがあったときに相談しにくいのでは?」「オンとオフの区別がつけにくくならないか?」という不安もありましたが、そんな心配は無用でした。
1日3回のミーティングで、別々の場所で働くメンバーと顔を合わせて話せるので、孤独感はありません。疑問点はビジネスチャットでメンバーや上司にいつでも質問できるため、毎日楽しく、安心して働けています。以前の職場では「1日にこれだけの量をこなすこと」というノルマがあったのですが、今はそれもありません。入社直後に上司から「体調に合わせて、自分のペースで働いてもらえれば大丈夫」と声をかけてもらえたのがとてもうれしかったですね。チームに新しいメンバーが入ってきたときには、自分もそうした言葉をかけるよう心掛けています。
入社から半年ほどで業務にも慣れ、介護ヘルパーのサポートを受けながら、念願の一人暮らしを叶えることができました。通勤に時間をかけなくてよくなったぶん、以前は1日当たり1時間ほどだった平日の自由時間が計4時間ほどにまで増えました。ゆっくりと食事を取ったり、テレビ番組を楽しんだりすることができています。
家族と電話でときどき話すと「声が本当に明るくなったね」と言われます。自分自身、これからのキャリアに対してずいぶんと前向きに考えられるようになったと実感しています。この働き方を今後も続けていきたいです。
※所属や肩書は取材当時のものです。
▼関連記事はこちら
▼スタッフサービス・クラウドワークについてはこちら