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自宅にいながら仲間と一緒に働ける。重度の身体障がいのある私が、初めての就業を実現した「完全テレワーク」という選択肢

株式会社スタッフサービス・クラウドワークは、通勤困難な重度身体障がい者の在宅就労(テレワーク)を専門的に推進するために設立された会社です。

同社では、自社で重度身体障がい者を雇用するだけでなく、全国の当事者や就労支援機関に向けて完全テレワークで働くという選択肢を認知してもらい、社会に広げていくための「オンラインお仕事体験会」にも積極的に取り組んでいます。

2022年11月に「厚生労働大臣表彰(輝くテレワーク賞)」特別奨励賞を受賞したスタッフサービス・クラウドワークは、重度身体障がい者にとってどのような価値があるのでしょうか。

今回は、関東地方を中心に「オンラインお仕事体験会」の推進役を担う関東エリア推進課マネージャーの酒本さかもと 速男はやをと、重度身体障がいの当事者であり「オンラインお仕事体験会」をきっかけにスタッフサービス・クラウドワークで働く齋藤さいとう 光輝みつきに話を聞きました。


自宅にいながらも仲間との一体感がある。完全テレワークの秘訣は、チームとのつながり

酒本 速男(さかもと はやを)
スタッフサービス・クラウドワーク
エリア統括部 関東エリア推進課 マネージャー

スタッフサービス・クラウドワークが継続的に取り組んできたのは、テレワークという働き方を重度身体障がい者や、障がい者の就労を支援する機関(ハローワーク、障がい者就業・生活支援センター、就労移行支援事業所、リハビリセンター等)に知ってもらい、働く選択肢の一つにしてもらうこと。コロナ禍の影響でテレワークそのものの社会的認知は飛躍的に向上した一方で、こうした方々にとっての身近な選択肢として社会に広がっているとはまだ言えません。

特にその傾向は、都市部よりも地方に顕著です。私は関東エリアおよび長野・新潟エリアを担当していますが、首都圏から離れるほどテレワークが可能な求人が少なく、ましてや“完全テレワーク”はほとんど見かけることがありません。また、そうした求人の少なさとは真逆に、都市圏ではない地方在住の重度身体障がい者ほど公共交通機関が少ないことやバリアフリー化の遅れなどから、オフィス通勤が困難な場合も多く、潜在的なテレワークニーズは高いはず。しかしながら、当事者のみなさん自身がテレワークを積極的に希望するケースはまだまだ多くはないのです。

こうしたギャップの原因として考えられるのが、テレワークを漠然とした印象のまま不安視していること。「何かあっても人に頼ることが難しそうで、心身のプレッシャーが大きそう」「黙々と孤独に業務を進める働き方で、楽しくなさそう」といった働く側の不安もあれば、支援者からも「どのようにしてマネジメントするのだろう」の不安を良く聞きます。だからこそ私たちは、「オンラインお仕事体験会」を通してテレワークの実態を多くの人たちに体験してもらい、漠然とした不安を払拭して前向きに検討してもらうきっかけづくりをしています。

体験会では、当社で実際に完全テレワークで働く重度身体障がいの社員と同様の働き方を実践。体験の大きなポイントは、「自宅にいながらチームで働く一体感」を知ってもらうことです。オンラインでつながっている仲間と声を掛け合って仕事の状況を確認したり、相談ごとがあればすぐに聞けたり、ちょっとした雑談を交わしたり…。そうした体験を通してテレワークに可能性を感じてもらい、一歩踏み出してもらうことを目指しています。

体験会は採用イベントではありませんが、体験会に参加後、この働き方ができる場所の一つとして当社への入社を希望する方もいらっしゃいます。そうしたみなさんに入社動機を聞くと、やはり「仲間を近くに感じられるから」という理由を挙げる人は多いですね。また、「通勤が前提の働き方では、体力的・時間的な制約が大きく、働くこと(働き続けること)が困難だった」という人も多いです。テレワークであればそうした個々の事情にも柔軟に対応しやすいのは大きな利点。そのうえで当社が大切にしているのは、“協力し、助け合う”風土です。誰かが大変なとき・困っているときはチームで助け合い、一人で抱え込まずに済む体制にすること。そうした仕組みと風土を組織で育むことも、障がいのある人たちが社会で活躍するチャンスを増やすためには必要だと考えています。

5年間苦戦していた就職をテレワークで遂に実現。離れていてもチームを感じられる


齋藤 光輝(さいとう みつき)
スタッフサービス・クラウドワーク
エリア統括部 関東エリア推進課

私は生後に受けた検診で身体に異常がみつかり、車いすで生活しています。地元である新潟県内の特別支援学校を卒業後は、国立障害者リハビリセンターを経て、就職活動を続けていました。

しかし、ハローワークでの就労支援を受けながら面接には伺うものの、オフィス環境が私のような障がい特性のある人に適していないことも多く、条件が折り合わないことが5年間続きました。障がいがあることに加えて、高卒で実務未経験、特段の資格がない私にとって就活は困難ばかり。都会の方がまだ可能性はあるのではと関東での仕事も探しましたが、それでもなかなか見つかりませんでした。でも、苦しい現実に直面しても私はあきらめたくなかった。私がずっと就職をしたかったのは、これまで支えてくれた家族にいつまでも頼るばかりではなく、なるべく自立して充実した生活を送る姿を見せたかった気持ちもありました。

そんなときにお世話になっていたハローワークから参加を勧められたのが、スタッフサービス・クラウドワークの「オンラインお仕事体験会」。テレワークという働き方自体はコロナ禍以降テレビや雑誌で見聞きしていたので、「就職先の選択肢が広がるかも」と、以前から漠然とした憧れはありました。

ただ、そんな期待とは裏腹に「自分には無理なんじゃないか」と思ってもいました。テレワークと言えば、一人で黙々と仕事を進めるイメージ。社会で働いたことがない私が、近くに相談相手がいない環境でちゃんと働けるか自信がなかったですし、何より自分の体調と上手く付き合っていかねばならない私にとって、孤独な環境で仕事をすることは不安が大きかったんです。

でも、実際に自宅から参加してみると、離れていてもオンラインでつながっているからこそ、参加者同士で気軽に話ができ、わからないことはいつでも質問できたことにホッとしました。はじめこそ緊張していましたが、お仕事体験をするうちにチームに馴染み、気がつくといつも通りの自分で笑って1日過ごせた。これが自分にフィットした働き方だと確信しました。

体験会を経て、完全テレワークができる環境を探した結果、私はスタッフサービス・クラウドワークで働くことを選び、現在に至ります。今担当しているのは、スタッフサービスの人材派遣に関連した市場調査業務。朝は10時に勤務を開始し、10時20分から朝礼で一度チームのみんなとオンラインで顔を合わせて、前日までの仕事の進捗確認や今日の予定の共有をします。朝礼後はパソコンを使った個人の作業ですが、わからないことがあればオンラインのチャットツールを使って適宜質問・相談しあっていますね。お昼の休憩は私の場合は13時から1時間。その後は業務に戻り、15時30分に夕方の定例ミーティングを行ったあとは、終業時間まで残り1時間はまた業務に集中して、1日を終えています。チームとしては1日に3回の定時ミーティングが設けられており、この場ではみんなで顔を合わせて話すので一人で働いている感覚はないですね。

また、チームで助け合いながら健康的に働き続けられるのも気に入っているところです。実を言うと、昔から私は熱中すると頑張りすぎてしまうタイプ。学生の頃は無理がたたって体調に響いてしまったこともありました。でも今は、いつもチームのみなさんで声を掛け合っているから、苦しいときは素直に言いやすい環境。チームで協力しあえる安心感を土台に、健全に頑張れる気がします。通院など、メンバーそれぞれの事情にあわせて始業・終業時間などを個別に対応しているのも、私たちの働き方の特徴。私も通院が数か月に一度ありますが、その時はチーム全体で業務を調整して対応するようになっており、チームで働くからこそのメリットだと思います。

自宅=職場でもあるからこそ、日頃から意識しているのはオンとオフの切り替えをすること。就業中は仕事に集中しながらも、就業後はPCの電源オフという会社のルールのおかげもあって、もしやり残したタスクが残っていても明日挽回しようと気持ちを切り替えるようにしています。

それに、通勤がないから出社に体力を奪われることなく、仕事もプライベートもどちらも大切にできるのが、私は非常に気に入っています。だからこそ社会人として仕事以外の時間ももっと楽しみたいですね。春になって暖かくなったら、ジムに通って身体を鍛えることにも挑戦しようと思っています。


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