外国籍人材のより良い「働く」を支える。多様性豊かなチームで自信と成長を実感
テクノ・サービスの「グローバル・コーディネート・センター(以下、GCC
GCC)」は、外国籍の求職者・派遣スタッフに特化したサポート部署です。メンバー12人のうち9人は、オフィスワーク未経験から採用・育成された外国籍の社員(2021年10月現在)。日本語が不自由な場合も多い外国籍派遣スタッフから届く、現場で起こるさまざまな困りごとの相談に乗り、必要な支援を提供しています。
多様性豊かなチームで日々どのように働いているのか、マネージャーの千代田圭さん、フィリピン国籍の社員であるベヤ マイケル ジョルダンさんが紹介します。
増加する外国籍派遣スタッフ。一方「言葉の壁」が課題
当社の主な派遣先は製造業です。少子高齢化による労働人口減少などの影響を受けて、現場の人手不足は深刻化しており、外国籍派遣スタッフを活用したいという希望が増えてきました。現在では全国で約1,000人、フィリピンやブラジルをはじめとする約40か国の外国籍派遣スタッフが就業しています。一方、多くの企業の製造現場では、英語やポルトガル語などの外国語に堪能な人材がいないのが実情です。任せたい仕事の手順を説明するのにも一苦労。外国籍派遣スタッフの側から質問や要望があっても、「言葉の壁」のせいでうまく伝わらないことも多々あります。そのあいだを取り持って、母国語で通訳をしたり、要望を吸い上げて調整したりするのがGCCの仕事です。年末調整や社会保険の手続きなど、煩雑な書類の申請も手伝います。
「やりがいを感じながら楽しめる職場」がキャリアアップの基盤
GCCでサポートにあたる外国籍の社員を採用する際に重視しているポイントは、主に3つです。1つ目は「派遣スタッフをサポートする業務への熱意があること」、2つ目は「チームに対してどう貢献できるかを積極的に考えられること」、3つ目は「現場の状況に合わせて仕事の内容や進め方が変わっても、ポジティブに捉えて対応できること」。オフィスワークの経験は問いません。メンバーの価値観や文化的背景が多様なGCCでは、柔軟性と協調性があり、仲間と一緒に楽しんで働けるマインドが不可欠だということです。
マネージャーとしては、メンバーがそれぞれの個性を発揮し合えているか、すれ違いが起きていないかを見守るのが仕事です。一人ひとりにこまめに声をかけたり、議論をする中で意見が通らなかったメンバーには丁寧に理由を説明してフォローしたりと、日頃のコミュニケーションを大切にしています。日々、やりがいを感じながら楽しめる職場を実現することで、メンバーのキャリアアップを後押ししていきたいです。また、将来的には、GCCが主体となり、外国籍派遣スタッフからの希望があれば、製造分野の仕事からホワイトカラーの事務職などへの職種転換の機会を提示できる仕組みづくりに挑戦していきたいと考えています。
同じ経験を保有する自分だからこそ、力になれると思った
フィリピンから日本に来て14年目になります。これまでは食品関係の工場、ホテルの清掃・ベッドメイキング、物流倉庫、植木屋、ごみ収集など、本当にさまざまな仕事を経験してきました。故郷のフィリピンにいた頃は、体を使う仕事というよりも、自分の知識やパソコンなどの技術を使って人の役に立てる仕事がしたいと思っていたんです。ただ、来日して分かったのは、日本語が十分に話せないと、求人を探すことさえ難しいという現実でした。職場で意思疎通がうまくできず、上司から大きな声で怒られてしまい、悲しい思いをした経験もあります。
GCCで働くようになったのは、フェイスブックの求人広告を見たのがきっかけです。ちょうど日本語の勉強を頑張り始めたころでした。求人条件として、ある程度の日本語能力を持っていることなどに加え、オフィスワーク未経験であっても「いろいろな仕事の経験がある人を歓迎します」と書いてあったのを、よく覚えています。「私のことだ!」とうれしくなったんです。慣れない環境で働く外国籍派遣スタッフの気持ちが、私にはよく分かります。何か力になれるはずだと強く思いました。
入社前は、初めて経験する業務に対して不安がありました。恥ずかしがり屋な性格なので、「周りの人たちとうまくなじめるかな」と緊張もしていました。でも、GCCのチームは多国籍で、どんなメンバーに対しても「ウェルカム!」という雰囲気なので心強いです。上司は日本人ですが「壁」を感じさせず、何でも相談しやすい環境です。自分のアイデアや意見を積極的に発信できるので、成長している実感を持てますし、何より自信がつきました。家族からも「以前より表情が明るくなった。きっと、仕事がすごく楽しいからだね!」と言われます。
今は、外国籍派遣スタッフに1件でも多くの仕事の選択肢を提供し、就業機会をつくりたいと、日々努力しています。先日、ある派遣スタッフから「家庭の都合で、仕事を続けられるかどうか分からなくなった。どうしたらいいか」という相談の電話がありました。泣いてしまうくらい思いつめていたようでしたが、相手の気持ちを丁寧に聞き取り、派遣先の担当者にも事情を伝えたところ、しっかりと理解してもらえました。その後も双方とコミュニケーションを重ね、その派遣スタッフは今でも同じ職場で働き続けることができています。こうして誰かの力になれたとき、とてもうれしく、誇らしい気持ちになります。
そんな積み重ねのかいがあってか、2021年10月、それまでのアシスタント職からCS社員(クライアントサービス・カスタマーサービス・コーポレートスタッフなどの業務を担当する社員。業務を自律的に遂行し、メインプレーヤーとしての活躍が期待される)へとキャリアを進めることができました。これからも多くの外国籍派遣スタッフのサポートを通して、自分のスキルを高め、チームの中でよりよい貢献ができるようになっていきたいです。
※所属や肩書は取材当時のものです。