共働き夫婦の育休取得に関する実態調査
2022年の法改正では、子どもが生まれる男性従業員に対して企業が育休制度の説明と取得促進をすることが義務化。同年10月からは「産後パパ育休(出生時育児休業)」も新設されました。女性就労者の増加とともに、男性の育休取得に関する法整備が整備され、共働き夫婦が増えています。
スタッフサービスグループでは、実際に育休を取得・体験をした立場の社員を対象とすることでリアルな意見を探るべく、「育児休業」をテーマした意識調査をおこないました。
共働き夫婦の育休取得に関する実態調査
1.育休前と比べた際の仕事の変化では、男女ともに「生活に重点を置く」結果に
男女全体で、育休前と育休取得後で比べた際の仕事の変化では、全体的に、「変わらない」の割合が多くなっていますが、すべての質問で【育休をきっかけに時間に余裕を作れるような働き方へ変更した】A計の方が【育休をきっかけに、より仕事へ重点を置く働き方に変更した】B計よりも高い傾向が見られます。
また、「就労時間を減らした」 「残業をしなくなった」 「有給休暇の取得を増やした」 「業務を効率的に進めるようになった」 「周囲との協力をより意識するようになった」については4割を超えており、多くの人が意識していることがうかがえます。
2.育休前と比べた仕事の変化は女性のほうが大きい。男性では「リモートワークを増やした」という回答も
男性と女性それぞれで、育休前と育休取得後で比べた際の仕事の変化では、女性の方が男性に比べて多くの点で上回っています。特に「就労時間を減らした」「残業をしなくなった」「有給休暇の取得を増やした」「周囲との協力をより意識するようになった」が男性より10pt以上高くなっています。
一方、男性は「リモートワークを増やした」 「業務を効率的に進めるようになった」「休日に残務処理をしなくなった」では、女性を上回っています。
3.育休後に意識するようになった1位は「育児と両立しやすい職場風土」
男女全体で、育休後に意識するようになったことでは、「育児と両立しやすい職場風土」(58.6%)「有給の取りやすさ」(48.3%)「給与」(40.6%)が3位までに入る結果となりました。
性別で見てみると、女性はほとんどの点で男性を上回っていますが、特に「育児と両立しやすい職場風土」「有給の取りやすさ」「通勤時間」「就業時間」「有給取得可能日数」では男性よりも10pt以上高い結果です。一方男性は、「転勤制度の有無」「評価制度」では、女性よりも高くなっています。
また、女性の配偶者の育休取得者では、「就業時間(フレックスタイムなど)」が全体よりも目立って高くなっています。
4.育休前と比べ職場に求める点が大きく変化。「育児の時間を創出する働き方」への意識が高まる
男性と女性それぞれで、育休前後の職場への意識として、 「給与」「業務内容・業務量」「評価制度」 といった「労働自体」に関わる意識よりも、「育児と両立しやすい職場風土」「有給の取りやすさ」「リモートワーク実施・導入状況」「有給取得可能日数」といった「育児の時間を創出する働き方」への意識が高まる傾向がうかがえます。特に女性では、その傾向が顕著となっています。
「転勤制度の有無」については、男性では育休後に増加していることがわかりました。
5.育休取得者の半分以上が現在の職場に満足している
「有給の取りやすさ」(74.9%)「有給取得可能日数」(69.1%)「育児と両立しやすい職場風土」(61.4%)「休日出勤の有無」(59.7%)「通勤時間」(52.3%)について、現在の職場に満足している人が半数を超えています。
男女ともに近似した傾向となっているが、「育児と両立しやすい職場風土」「休日出勤の有無」「転勤制度の有無」については、女性が男性を上回る結果となりました。
6.就労中の子どもの急な発熱などの対応は7割が妻に偏る
緊急時の育児の対応者では、妻計68.0%、夫計12.6%となっており、妻がメインで対応しているという結果となりました。
男性の育休期間別に見ると、3カ月以上取得者では夫計も28.0%となっており、3カ月未満取得者よりも10pt以上高くなっています。
7.育児は妻が主体の傾向。男女間の役割分担の意識差も
育児の割合においても、緊急時の対応と同様に妻が主体となっています。また、男性の「妻の割合が7割以上」は半数程度に対して、女性では7割以上となっており、男女間での役割分担の割合の意識の差も見られました。
また、女性の1年以上育休取得者では、「妻>夫計」の割合は9割を超えています。
育休取得後は男女ともに働き方や職場に求めることが大きく変化。取得をきっかけに柔軟な働き方の推進を
働き方の意識を育休前と比較すると、育休後は「育児のための時間を作る」ことへの意識の高まりがみられました。また、職場への意識の変化でも「育児と両立しやすい職場風土」「有給の取りやすさ」など生活を重視するための項目が高まりました。
一方で、子どもの発熱など、緊急時の育児対応と平時の育児の分担は、共に女性のほうが大きいことが分かりました。男性側が育休を取得していても、女性への分担が大きいという現状から「育児は夫婦の役割」という認識に課題があることが推測されます。
今回の調査から女性側に偏った育児負担の実態が明らかとなり、育休自体の取得推進に加え、“取得した後”を見据えた環境づくりについても、職場全体で推進していく必要がありそうです。
スタッフサービスグループではこうした現状を踏まえ、人の可能性を信じ、個人、組織、社会のさまざまな雇用ニーズをつなぎ、一人でも多くの方がより良い働き方に出会える社会の実現に向け、努めていきます。
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