「頑張りすぎてしまう自分」を理解し、周囲に伝えること。互いを理解しあえる職場環境だから、安心して働ける
スタッフサービスグループの特例子会社であるスタッフサービス・ビジネスサポートでは、多様な障がい特性のある社員が活躍しています。なかでも、業務推進部 5課は、身体障がい、知的障がい、精神障がいなど、さまざまな特性を持つメンバーが集まっており、メンバーの年齢も20歳~64歳と多様性の高い組織です。
一人ひとりにできること・苦手なことが異なり、必要な配慮も異なるチームでは、どのようにして個々の活躍を引き出しているのでしょうか。
今回は、2022年3月入社の天野 佑一さんと、マネージャーの上山 晋吾さんにインタビューしました。
障がい特性で区別しないチーム運営と、一人ひとりにあった心と身体の健康サポートを
年齢、ジェンダー、国籍などに関係なく多様な人がひとつの組織に集まり、互いを尊重しながらみんなで大きな価値を生み出していくという、ダイバーシティ&インクルージョンはますます加速しています。
そのひとつのテーマが障がい者雇用。民間企業における障がい者法定雇用率は、令和5年現在で2.3%ですが、令和6年4月には2.5%、令和8年7月には2.7%に引き上げられる予定で、企業はこれまで以上に障がいのある人とともに事業運営していくことが求められています。一方で、働く意欲のある障がいのある人も増加しています。しかし、受け入れに悩む企業や、実際にどのように働けば継続的に就労できるのか不安を感じている人も少なくありません。
こうした背景のなか、スタッフサービスグループの特例子会社であるスタッフサービス・ビジネスサポートでは、一人ひとりが特性や個性を活かせるようにさまざまな取り組みを実施。特に、「障がい特性で区別しないチーム運営」と「一人ひとりにあった心と身体の健康サポート」の2点を重視した職場づくりをおこなっています。現在は約9割の社員が勤続年数5年以上、約半数が10年以上です。
中でも、今回インタビューした天野・上山が所属する業務推進部では、入社1年目の定着率が97%で、就労開始直後に抱えがちな戸惑いを早期に払拭して安心して働ける環境を確立しています。
自分自身と仲間を理解し、セルフケアを続けることで、多様な個性が活躍できる
以前は、自営業で輸入衣料雑貨のECサイトや実店舗を運営していましたが、10年ほど前にうつ病を発症。昔から、頼まれごとが断れない、一度受けたからにはやり切らなければならないなど、過度なプレッシャーを感じやすく、次第に自分を追い込んでしまっていました。
治療に専念していた期間、就労移行支援所に通っていた期間を経て、2022年3月からスタッフサービス・ビジネスサポートに入社。ここを選んだのは、自分の特性を踏まえ、働く時間や服装などが柔軟で過度なプレッシャーを感じにくい環境で働きたかったからです。特に決め手になったのは、面接官の柔らかな語り口に安心感があったこと。「お願いしたい仕事はこのような内容ですが、興味を持てそうですか」「このようなプロジェクトがこれからはじまります」など、具体的な仕事内容を紹介してもらったうえで、私の働き方の相談ができたので、ここで自分が働くイメージがしやすかったです。また、職場見学でもチームで気軽に声を掛け合っている様子を見ることができ、何かと抱え込みがちな自分でも相談しやすそうだと思えました。
とはいえ、これだけ配慮のある環境だったとしても、入社したばかりの頃は「また心が不安定になったらどうしよう」と不安な気持ちもありました。自分の特性上、不安や焦りが起きても「大丈夫です」と言ってつい抱え込んでしまいがちだからです。でも、入社後は時短勤務からはじめて、上司や産業医、PSW(精神保健福祉士)との定期的な面談を経ながら、無理なく少しずつ勤務時間を伸ばしていけた。定期的に面談の機会が設けられているし、落ち着いてじっくり話を聞いてくれたからこそ、自分のことをちゃんと見てもらえている実感があって、いっしょに働く仲間を頼ることができたんです。
今おこなっている業務は、スタッフサービスグループで顧客と取り交わしている基本契約書や覚書などの書類の電子文書化で、チームで担当しています。入社半年後には、このチームの主担当として他メンバーの管理や業務管理をおこなうようになり、現在は課の業務責任者として、メンバーフォローや新入社員の受け入れ対応などもおこなっています。
私の部署はさまざまな障がい特性のある人たちが集まっていることもあり、それぞれに必要な配慮が異なるのが特徴です。ただ、違いはあっても共通して大切なのは、自分の想いを安心して伝えられること。新人受け入れの際は、定期的に話す時間を設けて何でも気軽に伝えあう関係性の構築を重視しています。そうすることで、何か困ったことがあればすぐに相談でき、チームでフォローしあえる状態をつくっています。
また、私が就労移行支援所で学んでためになったことを、他のいろんな特性の人たちにも知ってほしくて入社時研修の企画にも参加。「自分の癖や個性を知る」「相手の立場になって考えてみる」といった要素を研修のコンテンツに盛り込みました。多様な特性のメンバーが集まっているからこそ、まずは自分で自分を正しく理解しセルフケアをすることも大事ですし、自分を理解できれば、相手を理解し慮ることもできるはず。両方を大事にしたチームでありたいと思っています。
今の私がこの仕事にやりがいを持てるのは、そうした人との関わりを重視した職場だからかもしれません。以前は、何でも自分で抱えて精神的にも孤立してしまい、心のバランスを崩してしまいました。今の私は、チームで取り組み、困ったときは助け合える環境のおかげで、安心して仕事に臨めています。また、スタッフサービス・ビジネスサポートで働いていると、上司や仲間が私の仕事の仕方や癖、考え方などについて率直に意見をくれることがありがたいですね。「自分にはこんな良いところもあったんだ」と発見することもあるし、「こういうところは直さないと」といった指摘も含めて貴重な学びになっています。そういったことをどんどん吸収して、人として成長していくことが今の目標。焦らず丁寧に、周囲の人たちにも頼りながら、一歩一歩着実に成長していきたいです。
障がい特性で相手を判断するのではなく、一人の人として個性を踏まえた配慮をする
私は天野さんの入社2か月目からマネージャーを務めています。天野さんの個性を把握した上で最初にこだわったのは、少しでも不安を感じたらすぐに発信してもらうこと、いつでも話を聞く姿勢で向き合うこと。私だけでなく、PSWや社外の支援機関との面談をおこない、連携を取りながら天野さんが安心して就労を続けられる状態をつくっていきました。
すると、仕事や環境に慣れていくうちに、天野さんがもともと持っている良さが目立ってくるように。抱え込みがちで頑張りすぎてしまうところは、裏を返せば誰に対しても親切丁寧に向き合えるという強みでもあります。天野さんの人当たりの良さやじっくりと話を聞いてくれるところは、多様な障がい特性のある仲間が集うチームをまとめるのに向いているのではないか。そう考えて、チームの主担当をお願いすることにしました。最初のうちはメンバーを頼って仕事を任せることに苦労している様子でしたが、新しい仕事にチャレンジするプロセスに私たちが寄り添いながら、彼自身が一歩ずつ前身して成長してくれたことに頼もしさを感じています。
私の組織は、精神障がい、知的障がいや身体障がいの人など、多様な特性のメンバーが集っているのが特徴。ただ、どんな特性のある人であっても、私は一貫したスタンスを心掛けています。メンバーから「忙しそうで話しかけづらい」と思われないようにすること、どんなに些細なことでもしっかり相手と向きあうこと、今すぐには時間が取れなくても必ず話す時間をつくることです。
例えば、入社直後から3か月は月1回面談の機会を設けることが全社的なルールですが、希望する人にはその後も定期面談を継続するようにしていますね。また、就労が定着してからも、1対1で話すときは真正面で向きあうのではなく、斜めの位置に座ることで心理的に圧迫しないように。話を聞くときには、本人のペースを尊重し、話を遮ることなく最後までじっくりと耳を傾けることを意識しています。
もちろん、障がい特性によって必要な配慮は異なります。しかし、メンバーを理解する上では、特性に固執することなく、フラットに相手を知ることを大事にしていますね。そもそも障がいはその人を構成するひとつの特徴にすぎません。人それぞれの興味・関心や得意も含めた個性を理解することが、一人ひとりの活躍には必要不可欠。また、マネージャーが理解するだけでなく、メンバー自身が自分の障がい特性も含めた個性を正しく理解し、体調変化などのサインを感じたら適切に声を挙げられるように促すことも大切だと思います。
私たちSSBSが目指すのは、障がいのある人が安心・安全・健康に長く働き続けられる組織。長くこの会社で働いてもらえる組織にするのはもちろん、たとえ別の環境に移ることになっても、スタッフサービス・ビジネスサポートで働いた経験がその人にとって糧となるようにしたい。一人ひとりと対話を続けながらその人の希望や想いをかなえられる機会を一緒につくっていきたいです。私の組織で多様な特性の人々が集まってチームで仕事をしているように、どんな障がいのある人でもやり方次第で生き生きと働けるはず。誰もが働く喜びを感じ、チャレンジしていける社会を実現することが私たちの目標です。
※所属や肩書は取材当時のものです。
\お読みいただき、ありがとうございました!/
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