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シニアが活躍できる社会は、多様な働く価値観が尊重される世界

スタッフサービスグループ役員の経営理念「チャンスを。」にまつわるエピソードや、事業において今後実現していきたいことを紹介する『「チャンスを。」stories』。今回は、シニア人材の就業機会拡大に取り組む、メディカル領域事業担当の執行役員 平井ひらい まことが登場します。


長年、意志を持って取り組んできた「未経験・微経験からの就業機会拡大」

私と人材派遣との出会いは、スタッフサービスに入社する前のこと。友人と会社を立ち上げて活動していた私は、会社の事業と並行して、収入を補うために派遣スタッフとして働いていた時期がありました。副業のように「週3日」という条件で働けたことが、とてもありがたかったことを覚えています。さまざまな立場の方が、就業のチャンスを得られる働き方だと実感したことが、後にスタッフサービスへ入社し、以来20年以上人材派遣サービスに携わってきた私の原点になっています。

入社後は、事務職派遣の営業職、エンジニア派遣のユニット長を経たあとは、執行役員として事務領域、エンジニアリング領域を担当し、2022年4月からは医療・介護領域のスタッフサービス・メディカルを担当しています。

平井 真(ひらい まこと)
株式会社スタッフサービス・ホールディングス
執行役員(メディカル領域事業担当)

振り返ってみると、これまでの私のキャリアは、スキルマッチングを前提とした派遣業界において、経験がない方(未経験)や経験が少ない方(微経験)の就業機会を増やすことにチャレンジし続けてきたように思います。例えば、エンジニア領域を担当していた時は、ITやものづくりにおける慢性的な人手不足を解決するために、業界全体の労働人口を増やし、エンジニアの裾野を広げることを推進。派遣会社である私たちが未経験・微経験の方たちにエンジニアとして活躍いただくための教育体制やフォロー体制を整備し、就業先企業と一体となってエンジニアの育成に取り組んできました。

また、事務領域担当時に推進していた無期雇用派遣サービス「ミラエール」も、未経験・微経験から事務職へのチャレンジを応援する意味が込められています。新卒からの就業や、はじめてオフィスワークに挑戦する人に私たちがフォローや育成をおこなうことで、就業のチャンスを広げてきました。


「業務分解」でシニアの活躍の場を広げ、介護業界の人手不足解消に貢献する

若者や女性、障がいのある方、外国籍の方など、スタッフサービスグループではこれまでさまざまな方々の就業機会の拡大に取り組んできました。そんな中、私自身が本格的にシニアの方の活躍を意識するようになったのは、スタッフサービス・メディカルの担当になってからのことです。これまでには年齢を重ねるほど未経験からの就業を厳しく見られる実態がありましたし、恥ずかしい話ですが、私自身の中にもそのようなアンコンシャスバイアスが少なからずあったのだと思います。

 一方で、私が担当になったコロナ禍の医療・介護業界は、以前からの人手不足に加え、治療や療養の対応、感染防止対策などに伴い業務量が急激に増加。特に介護施設では、現場で働く社員が疲弊し、耐えきれずに離職し、ますます人手が足りなくなるという負のスパイラルをたくさん見てきました。それと同時に医療・介護の社会インフラの重要性に改めて気づかされたのです。なんとかしてこの状況を変えなければいけない。

そこで私たちは、派遣スタッフとして登録している人のうち、「働こう」という想いがあっても、当社から就業の機会を提供できていない方々と、需要の高まる医療・介護業界のお仕事とのマッチングを検討しました。すると、50代のミドルシニア層や60代以上のシニア層が、他の年齢層よりもお仕事に就く割合が低いという事実にたどり着きました。そこで需要の高い業界とシニアの方のマッチングの強化に舵を切ることにしたのです。

とはいえ、本当にシニアの方が活躍できるのか、手探りからのスタートでした。スタッフサービス・メディカルの営業担当やコーディネーターに医療・介護現場の職場や求人需要などについてボトムアップで意見を出してもらいながら、方向性を検討。各種調査データも活用しながら議論を進めると、見えてきたことがあります。それは、企業が漠然と「フルタイムで働ける有資格者」を求めているのに対し、シニアの求職者は圧倒的に無資格者・未経験者が多く、「勤務時間」「勤務日数」「勤務地」などを重視した「家の近くで自分にあう日時で働きたい」ニーズが強いこと。また、未経験から介護の業界にチャレンジすることへの不安もあります。このギャップを埋めていくことが必要不可欠だとわかりました。 

そこで、私たちがシニア人材活用の鍵として取り組みはじめたのが、「業務分解」です。介護職員の1日の業務を整理し、有資格者でなければできない業務と、資格がなくてもできる業務に分解。さらにもう一段業務を細分化し、一つひとつの業務に対して、体力やコミュニケーション力がどれくらい必要か、どの時間帯に発生する業務なのかを定義していきました。こうすることで、本人の希望や能力に応じて業務を切り出して任せることが可能に。業界・職種未経験のシニアの方でも、安心してスタートできた事例が続々と生まれていったのです。


フラットな立場で企業と個人の間に介在し、Win-Winを実現する存在でありたい

例えば、あるシニア派遣スタッフは「午前7時に出勤して、多くの職員が出勤する9時までの2時間でベッドメイキングなどを担当。その後は一旦家に戻って日中は自由に過ごし、夕方の忙しくなる時間にまた出勤して夕食の配膳などを担当する」といったフレキシブルな働き方をしています。

また、もともと居酒屋の店主だったものの、コロナ禍の影響でお店を畳むことになったという派遣スタッフは「調理補助」の仕事から介護の仕事をスタートしました。実は、介護施設における調理は、入居者さんの状態によって必要な食べやすさの工夫が異なり、具材の大きさを変えたり、とろみをつけたりといった細かな調整をおこなっています。介護という異業界へのチャレンジに少なからず不安もあったそうですが、居酒屋での調理経験が活かせることで前向きに新たな一歩を踏み出していらっしゃいます。

一方、企業にとってもシニアという新たな人材を確保できただけではありません。資格が必要ない業務を切り出した分、「資格を持つ職員が専門の業務に専念しやすくなった」、「効率的な施設運営につながった」という声も届いており、私たちの支援が業務改革や多様な人材の活用を推進するうえでの一助になったケースもあるようです。

一人ひとりの希望にあった働く機会を創出するには、まだ道半ばですが、取り組みを通じて実感していることがあります。それは、シニアの方が働く目的や意義は、下の世代よりも多様であること。現役時代と同じようにフルタイムでスキルを使って働きたい方もいれば、プライベートを重視しながら働きたい方、収入を得ること以上に社会とつながり続けるために働きたい方もいらっしゃいます。また、長い人生の中で積み上げてきたものが人によって異なり、シニアと一口ひとくちにいっても強みや得意不得意は人それぞれです。

それだけ多様だからこそ、一人ひとりが能力を最大限発揮するには、私たちのようにフラットな立場で企業と個人の間に立ち、双方に働きかけて調整していく存在が重要なのだと再認識できました。スタッフサービス・メディカルでの取り組みをきっかけに、スタッフサービスグループ横断でもシニア人材の活躍推進に向けた取り組みがはじまっています。シニアの方の可能性を信じ、チャンスを広げていくことで、最終的には世代を問わず多様な人々の「働こう」という想いの実現につなげていきたいです。

また、多様な人材の活躍によって医療・介護業界を支えていくことは、いずれは年を重ねていく現役世代にとっても他人事ではありません。医療・介護はなくてはならない社会インフラですので、次の世代のためにも人手の課題を解消し、持続的に発展できる業界へと進化するお手伝いをしていくことが、今の私の目標です。


※所属や肩書は取材当時のものです。

\お読みいただき、ありがとうございました!/


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